科: ヒユ科属: Spinacia
栽培カレンダー
関東地方の目安です。地域と品種で前後します。実際の日付は記録に残しましょう。
9月のほうれん草は「播種・育苗」の時期です。 9月の畑仕事を見る
ほうれん草を詳しく知る
項目ごとに 1 ページで掘り下げています。いま知りたいところから読んでください。
よくある悩み・今の作業
ほうれん草で実際に起きる悩みと、時期ごとの作業を 1 つずつ解決する記事です。
記録しておきたいタイミング
播種した日と酸度調整
ほうれん草は酸性土を最も嫌います。石灰を入れた日と播種日を並べて残すと、育ちの差が分かります。
発芽が揃った日
発芽が不揃いだと収穫もばらつきます。播種から発芽までの日数を残します。
収穫した日
秋まきなら 30〜50 日。播種からの日数を残すと、次の播き時が決められます。
収穫までのコツ
ほうれん草を育てるうえで、うまくいくかどうかを分ける勘所です。暦や病害虫の前に、ここだけ押さえておくと結果が変わります。
秋まきは9月下旬以降にする
生育適温は15〜20度で、暑いうちにまくと葉が薄く伸びます。彼岸過ぎにまくと涼しくなるにつれ葉が厚くなり、30〜40日で採れます。
季節で東洋種と西洋種を使い分ける
切れ込みのある東洋種は寒さに強く冬採り向き、丸葉の西洋種は日が伸びても花芽を作りにくい性質です。まき時で選び分けます。
赤い根元を1cm残して切る
株の付け根の赤い部分には甘みが集まっています。抜いた後に根の先だけ落とし、1cmほど残して切ると甘い部分を捨てずに済みます。
12月は覆いを外して寒に当てる
氷点下に当たると葉が地面に伏せ、糖を蓄えます。年内の冷え込む時期に不織布を外しておくと、縮んだ甘い葉に仕上がります。
同じ場所は2年空けて植える
ほうれん草は連作すると根が傷み、株の育ちが揃わなくなります。同じ畝で続けず、間にネギ類やマメ類を挟むと安定します。
ほうれん草の栽培をはじめるのに用意するもの
これから育てるなら、まず次の 4 つがあれば始められます。作業ごとに要るものは、各解説のページにまとめています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。
最初にやることは土づくりです。植え付けの 2〜3 週間前に入れて、土になじませます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 粒状。1kg 袋なら一年ぶんの追肥に足ります。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、追肥は 1 回 30〜50g。
元肥にも追肥にも同じものが使えます。まず 1 袋あれば十分です。
- 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
- 規格の目安
- 幅 6〜8cm のステンレス製。柄と刃が一体のものは曲がりません。
種まきから植え付けまで、いちばん手に取る道具です。
- 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
- 規格の目安
- 目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱と合わせて使います。
薬を使わずに虫を防ぐなら、まずこれです。1mm で止まるのは蛾や蝶。アブラムシやアザミウマまで狙うなら 0.6mm 以下が要りますが、そのぶん風が通らなくなります。
- 道具のセット買いは要りません。使う場面が来てから 1 つずつ足すほうが無駄になりません。
- 苗から始めるなら、種まき用の資材は要りません。
ほうれん草の病害虫(36)
症状・予防・対処が分かっているものを、重要度の高い順に並べています。「一般的な内容」と付いているものは、この作物にかぎった記述がまだ無く、病害虫そのものの説明を出しています。
抽苔 (とう立ち)
主要生理障害
時期 春(3〜5月)出る場所 株の中心出やすい条件 日が長くなる時期。高温
症状 中心から花茎が伸び、葉が固く筋っぽくなります。
予防 春まきは晩抽性(とう立ちしにくい)品種を選びます。秋まきを主体にすると避けられます。
対処 とう立ち前に収穫を終えます。伸び始めたら早めに採り切ってください。
春の長日で抽苔する
べと病
主要病気Pe / Pfs
時期 秋〜春(10〜4月)出る場所 葉出やすい条件 低温多湿。密植
症状 葉の表に淡黄色のぼやけた斑ができ、裏に灰紫色のカビが生えます。株が込んでいるほど広がります。
予防 べと病抵抗性品種(R-1〜R-16 等の表記)を選ぶのが最も確実です。間引きで風を通し、水はけを良くします。
対処 発病葉を取り除き、間引いて風を通します。抵抗性品種でもレースが合わないと出るので、品種を変えるのも手です。
秋〜春の低温多湿期に多い
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Bremia centaureae、Bremia lactucae、Bremia taraxaci ほか30
萎凋病
よくある病気Fos
時期 高温期(9〜10月)出る場所 株全体出やすい条件 地温が高いとき。連作
症状 下葉から黄化してしおれ、株が枯れます。
予防 高温期の播種を避け、連作を避けます。
対処 治せません。抜いて処分します。
夏まきで多発する
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Ceratocystis fimbriata、Fusarium commune、Fusarium commune f. sp. rapae ほか23
苗立枯病
よくある病気
時期 播種後(9〜10月)出る場所 地際の茎出やすい条件 高温多湿。厚まき
症状 発芽後の苗が地際でくびれて倒れ、まとまった範囲で消えます。
予防 厚まきを避け、播種後の過湿を避けます。
対処 発病株を取り除き、間引いて風を通します。
夏まきで出芽不良を招く
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Achlya klebsiana、Cylindrocladium canadense、Fusarium avenaceum ほか41
根腐病
よくある病気
時期 秋の高温期・春(9〜10月、4〜5月)出る場所 根・株元出やすい条件 高温多湿。排水不良
症状 株がしおれて枯れ、根が褐色に腐っています。まとまった範囲で出ます。
予防 高畝で排水を良くし、高温期の播種を避けます。連作を避けます。
対処 発病株を抜き、その場所は次作を空けます。水やりを控えます。
夏季の高温多湿で根が腐る
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Aphanomyces cladogamus、Aphanomyces cochlioides、Cylindrocladium floridanum ほか47
肥料焼け
よくある生理障害
時期 播種直後(9〜10月)出る場所 発芽・根出やすい条件 元肥や石灰を入れた直後にまいたとき
症状 発芽がそろわず、出た芽も枯れます。根の先が茶色く傷んでいます。
予防 元肥と石灰は播種の 2 週間以上前に入れて土になじませます。ほうれん草は酸性に弱い一方、直前の石灰にも弱いです。
対処 やり直しになります。水をたっぷり与えて肥料濃度を下げ、期間を空けてまき直します。
発芽不良と葉焼けを招く
ヨトウムシ
よくある害虫
時期 秋(9〜10月)出る場所 葉出やすい条件 秋口の高温
症状 夜に葉を食べ、若齢は葉裏に群生して葉が白くかすれます。
予防 播種直後からの防虫ネット。卵塊を葉ごと取ります。
対処 若齢のうちに葉ごと処分します。
若齢幼虫が群生する
病原・原因(この病名で報告のあるもの): ヨトウガ
ダンゴムシ
ときどき害虫一般的な内容
症状 発芽直後の子葉や幼苗の地際がかじられ、苗が消える。地面に接した果実の表面に浅い食害痕ができる。
予防 株元の枯葉や敷きわらを厚くしすぎず、鉢や資材を地面に直置きしない。排水を良くして過湿を避ける。
対処 潜伏場所を取り除いて密度を下げるのが基本である。育苗期の被害が続く場合は誘引剤を株元に置き、苗をポットで育ててから定植する。
発芽直後の苗が消える
病原・原因(この病名で報告のあるもの): オカダンゴムシ
ナメクジ類
ときどき害虫一般的な内容
症状 葉や果実に不規則な穴が開き、周囲に光る粘液の跡が残る。日中は鉢底やレンガの下、株元の枯葉の陰に潜んでいる。
予防 株元の枯葉や資材を片付け、風通しと排水を良くして隠れ場所と湿気を減らす。鉢は地面に直置きせず棚に上げる。
対処 夜間や雨上がりに見回って捕殺する。被害が続く場合は誘引殺虫剤を株元に少量置き、ペットや子どもの手の届かない配置にする。
幼苗が食害される
病原・原因(この病名で報告のあるもの): コウラナメクジ科
斑点病
ときどき病気一般的な内容Cv / Sb
症状 下葉から褐色〜灰白色の小さな円形病斑が現れ、中央が灰色になって黒い小粒点を伴う。病斑が増えると葉が黄化して早期に落葉する。
予防 被害残さを畑に残さず処分し、種子伝染を避けるため健全な種子を用いる。泥はねを防ぎ、連作を避けて風通しを確保する。
対処 発病葉は摘除して持ち出す。多雨期には登録のある殺菌剤を予防的に散布し、下葉から順に薬液がかかるようにする。
秋雨期に外葉へ点在する
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Acroconidiella tropaeoli、Alternaria azukiae、Alternaria dianthi ほか80
萎黄病
病気一般的な内容
症状 下葉から黄化し、葉柄がねじれて株が片側に傾く。導管が褐変し、生育が止まって結球しないまま枯れることがある。
予防 抵抗性品種を選び、アブラナ科・イチゴの連作を避ける。無病苗を使い、汚染土壌を農具や靴で持ち込まない。
対処 発病株は根ごと抜き取って処分する。治療は困難なので、輪作や太陽熱消毒で次作の菌密度を下げることを優先する。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Candidatus、Fusarium oxysporum、Fusarium oxysporum f. sp. apii ほか8
疫病
病気一般的な内容
症状 葉に暗緑色の水浸状病斑ができ、急速に拡大して褐色に枯れる。葉裏や病斑周縁に白いかびを生じ、茎や果実にも黒褐色の病斑が広がる。
予防 健全な種いも・苗を使い、排水と通風を確保する。雨よけ栽培や敷きわらで泥はねを防ぎ、ナス科の連作を避ける。
対処 発病株は速やかに抜き取り、圃場外で処分する。降雨前に登録のある殺菌剤を予防散布するのが基本で、発生後の回復は難しい。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Phytophthora asparagi、Phytophthora cactorum、Phytophthora cambivora ほか26
褐斑病
病気一般的な内容
症状 葉に淡褐色〜灰褐色の小斑点ができ、拡大して不整形の病斑となる。病斑が融合すると葉全体が枯れ、株の勢いが急落する。
予防 換気と除湿で葉の濡れ時間を短くし、密植を避ける。被害葉と残さは早めに処分し、連作ほ場では品種と作型を見直す。
対処 初発を見たら病葉を除去し、登録のある殺菌剤を葉裏まで散布する。耐性菌が出やすいので同一系統の連用は避ける。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Acidovorax avenae subsp. cattleyae、Alternaria alternata、Alternaria dauci ほか57
キュウリモザイク病
病気一般的な内容CMV
症状 新葉に黄緑のモザイクが出て、葉が縮れ株全体が萎縮する。果実は色ムラやいびつな変形を起こす。
予防 シルバーマルチや防虫ネットでアブラムシの飛来を抑える。周囲の雑草を除き、ウイルスの越冬源を減らす。
対処 治療できないため発病株は早期に抜き取る。残った株のアブラムシを防除し、抜き取り作業は媒介虫を飛ばさないよう袋に入れて行う。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): アブラムシ類、キュウリモザイクウイルス (CMV)、Cucumovirus CMV
さび病
病気一般的な内容
症状 葉の表裏に小さな橙黄色〜赤褐色の隆起した斑点ができ、破れて粉状の胞子を飛散する。多発すると葉が黄化して早期に枯れ上がる。
予防 密植を避けて風通しを確保し、窒素過多にしない。被害葉は残さず処分し、越冬源となる残株やロゼット葉を片付ける。
対処 初期の被害葉は摘み取って処分する。発生初期に登録のある殺菌剤を散布し、まん延前に抑えるのが有効である。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Aecidium minoense、Aecidium quintum、Arthuriomyces peckianus ほか90
白さび病
病気一般的な内容Wo
症状 葉裏に乳白色でやや盛り上がった不整形の斑点ができ、表皮が破れて白い粉を出す。葉表は淡黄色に変色し、多発すると株の外観と商品価値が落ちる。
予防 密植と過湿を避け、株間の風通しを保つ。被害葉と残さを処分し、アブラナ科の連続作付けを避ける。
対処 発病葉は摘み取って処分する。発生初期に登録のある殺菌剤を葉裏中心に散布し、多湿が続くときは間隔を詰めて防除する。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Albugo candida、Albugo ipomoeae-aquaticae、Albugo ipomoeae-hardwickii ほか5
炭疽病
病気一般的な内容Cd
症状 葉や果実に淡褐色〜黒褐色の円形病斑ができ、中央がややくぼんで輪郭がはっきりする。湿ると病斑上に鮭肉色の粘質な胞子塊がにじみ出る。
予防 雨よけと敷きわらで泥はねを防ぎ、風通しをよくする。被害残さは土中にすき込まず処分し、無病苗を用いる。
対処 病斑のある葉・果実は早めに摘み取って処分する。梅雨期は登録のある殺菌剤を降雨の前後に散布して感染を抑える。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Colletotrichum Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum acutatum、Colletotrichum aenigma ほか66
ネグサレセンチュウ
害虫一般的な内容
症状 根の表面に黒褐色の細長い壊死斑ができ、細根が腐って減る。地上部は生育が揃わず、株が小さいまま葉色が薄くなる。
予防 被害の出た区画では同科の連作を避け、緑肥やイネ科作物を輪作に組み込む。清潔な用土と健全な苗を使う。
対処 被害根は残さず抜き取って処分し、土壌の太陽熱消毒を行う。密度が高い圃場では栽培する作物自体を切り替える。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): ネグサレセンチュウ属、ミナミネグサレセンチュウ、スズランネグサレセンチュウ ほか8
ネコブセンチュウ
害虫一般的な内容
症状 日中に株が萎れ、施肥や潅水をしても回復しない。抜き取ると根に大小の こぶ が数珠状に付き、細根が乏しい。
予防 同じ科の連作を避け、対抗植物のマリーゴールドや緑肥を輪作に入れる。抵抗性台木の接ぎ木苗を使うのも有効だ。
対処 被害株は根ごと抜き取り圃場外へ持ち出す。夏季は透明マルチによる太陽熱消毒で土壌中の密度を下げる。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): ネコブセンチュウ属、アレナリアネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ ほか5
斑点細菌病
病気一般的な内容
症状 葉に水浸状の小斑ができ、のちに褐色になって周囲が黄化する。果実にも水浸状やかさぶた状の斑点ができ、そこから腐敗が進む。
予防 健全種子・健全苗を用い、同じ科の連作を避ける。雨よけとマルチで泥はねを防ぎ、風通しをよくして結露を減らす。
対処 発病葉・発病果は早めに除去して圃場外へ持ち出し、周囲株に銅剤を予防散布する。作業は葉が乾いた時間帯に行い、雨中や露のある朝の管理を避ける。
病原・原因(この病名で報告のあるもの): Acidovorax valerianellae、Burkholderia andropogonis、Herbaspirillum sp. ほか23
記録されている病名(16)
農研機構の日本植物病名データベースに、この作物で報告のある病名です。症状の記述はこれからです。
よくあるトラブル
葉が黄色く育たない
土が酸性に傾いています。ほうれん草は pH 6.5〜7.0 を好みます。播種の 2 週間前に苦土石灰を入れます。
葉の裏に白いカビ
べと病です。低温多湿で出ます。株間を空けて風通しを良くし、密植を避けます。
とう立ちする
春まきは日が長くなるととう立ちします。とう立ちしにくい春まき用の品種を選びます。
葉に白い曲がった線が入る
ハモグリバエです。線の先に幼虫がいるので、その部分を指でつぶすか葉ごと取ります。
品種一覧(36)
Gadenin の作物マスタに登録されているほうれん草の品種です。アプリで Plant を登録するときに候補として出てきます。
あ2
か1
さ3
た1
な1
は6
や1
わ1
その他20
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この作物でよく出る用語
本文に出てくる言葉の意味は、園芸用語集で短く説明しています。
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