GadeninEnglishアプリを入れる
ほうれん草の土づくりと酸度

ほうれん草の土づくりと酸度調整|石灰の使い分けとまく2週間前の準備

ほうれん草の栽培イメージ

読むのに約 6

ほうれん草が育たない原因の多くは酸性土壌です。まく2週間前からの逆算で決まります。

酸性土壌で止まるのはほうれん草だけ

同じ畝で小松菜や大根が普通に育つのに、ほうれん草だけ双葉のまま止まる、葉が黄ばんで大きくならない。これは肥料不足ではなく酸度の問題です。ほうれん草の適正はペーハー6.5〜7.0で、野菜のなかでも酸性への耐性が際立って低い部類に入ります。

土が酸性に傾くと、根の周りでアルミニウムやマンガンが溶け出して根の先端を傷めます。根が伸びない株は水も肥料も吸えないので、追肥(育てている途中で足す肥料)をしても反応しません。日本の畑土は雨で塩基が流れて放っておくとペーハー5台に下がるため、毎作なにもしなければ酸性側に振れていきます。

見た目で判断せず、測ってから決めます。市販の簡易測定液や測定器で十分で、畝の数か所から深さ10センチほどの土を取って混ぜたものを測ります。表面だけの土は雨で流された分だけ数値が低く出ることがあります。

ペーハーほうれん草の反応起きること
5.0前後ほぼ育たない双葉から進まず、やがて枯れる
5.5前後著しく劣る葉が黄ばみ、追肥に反応しない
6.5〜7.0適正素直に伸び、葉色も安定する
7.5以上新葉が白く抜ける鉄・マンガンが吸えなくなる

生育が止まってから石灰をまいても、その作には間に合いません。酸度は「植える前に決める」項目だと考えます。

消石灰・苦土石灰・有機石灰の使い分け

石灰資材は「効きの速さ」と「マグネシウムを含むか」で選びます。家庭菜園のほうれん草では苦土石灰が基準で、急いで大きく上げたいときだけ消石灰、まく直前にしか手を入れられないときは有機石灰、という順で考えると迷いません。

石灰の種類効き方入れる時期
苦土石灰おだやかに上がる。マグネシウムも同時に補えるまく2週間以上前
消石灰強く速く上がる。上げすぎと根傷みの危険があるまく3週間以上前
有機石灰(かき殻・貝化石)ゆっくり少しずつ上がる。上げすぎにくいまく直前でもよい

苦土石灰を選ぶ実利は酸度だけではありません。マグネシウム不足で古い葉の葉脈間が黄色くなる症状を同時に防げます。

石灰の量は現状の値から逆算する

量は一律ではなく、いま測った値と目標6.5との差で決めます。多すぎると今度はアルカリ側に振れ、鉄やマンガンが吸えなくなって新しい葉が白っぽく抜けます。ほうれん草は上げすぎの害も出やすいので、足りなければ次作で足す前提で控えめに入れます。

測ったペーハー苦土石灰の目安備考
5.5前後またはそれ以下1平方メートルあたり150〜200グラム一度で狙わず2作に分ける
6.0前後1平方メートルあたり100グラム前後標準的な家庭菜園の畑
6.5前後1平方メートルあたり50グラムまで入れなくてもよい
7.0を超える入れない石灰は連用しない

まく日から逆算した2週間

2〜3週間前 石灰を混ぜる
石灰を全面にふり、深さ20センチまで耕して混ぜます。表面にまいただけでは根が伸びる層まで届きません。混ぜたら水をやり、反応する時間を置きます。
1週間前 元肥を入れる
堆肥と元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)を入れて再度耕します。石灰と窒素肥料を同時に混ぜるとアンモニアが抜けて肥料が減るため、この2工程は必ず日を空けます。
2〜3日前 畝を立てて落ち着かせる
畝を立て、表面を板でならして水平にします。土がふかふかのまま種をまくと、水やりで沈んで種の深さが不ぞろいになります。
当日 表面を軽く締める
まく直前に軽く鎮圧して、種と土が密着する面を作ります。ほうれん草は吸水が遅いので、この一手間で発芽日数が縮まります。

石灰と元肥を同じ日に混ぜてしまったときは、まく日を1週間後ろにずらして反応が落ち着くのを待ちます。

元肥は窒素を効かせつつ切らさない

ほうれん草は生育期間が1〜2か月と短く、その間ずっと葉を作り続けるので、肥料の要求は葉物のなかでも高い部類です。目安は1平方メートルあたり窒素成分で20グラム前後、化成肥料なら100〜150グラム程度になります。春まきは生育が速いぶん切れやすく、秋まきは低温で効きが鈍るので、どちらも元肥をしっかり入れて追肥で補います。

堆肥は完熟したものを1平方メートルあたり2キログラム前後。未熟な堆肥はケナガコナダニの餌になり、新芽が芯止まりする被害の引き金になります。有機質を入れるなら遅くとも1か月前、できれば前作の段階で済ませておきます。

元肥は全層に混ぜる
畝を立てる前に全面にふって深さ20センチまで混ぜます。ほうれん草の根は下へ伸びるので、表層だけに置くと後半で切れます。
堆肥は1か月前までに
完熟堆肥を1平方メートルあたり2キログラム。遅れると分解の途中で根を傷め、ケナガコナダニの餌にもなります。
リン酸を切らさない
低温期は根がリン酸を吸いにくくなります。秋まきと越冬作型では、元肥のリン酸をやや多めにしておくと初期の伸びが違います。

窒素を効かせる作物ですが、過剰は葉が濃く軟らかくなって病害虫を招きます。濃い緑を目標にしないことです。

プランターと連作の扱い

培養土は酸度調整済みを選ぶ
市販の野菜用培養土は多くがペーハー6前後に調整済みで、そのまま使えます。石灰の追加は不要で、足すとむしろ上げすぎます。
深さは20センチ以上を確保する
直根が下へ伸びるため、浅い容器では根鉢が回って葉が小さいまま止まります。標準プランターなら深型を選びます。
古い土を使い回すなら測る
2作目以降の土は肥料の残りで塩類が濃く、酸度も動いています。使う前に測り、腐葉土を足して物理性を戻してから使います。
連作は2年空ける
同じ場所での連作は萎凋病と根の障害を招きます。畑では年ごとに畝を移し、狭い区画では春と秋で場所を入れ替えます。

うまく育たないときの原因を切り分ける

ほうれん草が育たないとき、最初に疑うのは酸度ですが、それだけではありません。同じ「大きくならない」でも、酸度、肥料切れ、未熟な有機物、連作の四つで手当てが変わるので、順に確かめます。

確かめる順番は、測る、掘る、さかのぼるの三つです。まず酸度を測り、次に根を掘って伸び方と土の湿りを見て、最後に堆肥や石灰をいつ入れたかを記録から追います。この順なら見当違いの手当てを避けられます。

測ってから決める
見た目で肥料を足しても、酸性が原因なら反応しません。畝の数か所から深さ10センチの土を取り、混ぜてから測ります。
次作までに直す
酸度は生育の途中では直せません。今作は採れる分を採り、石灰は次作のまく日の2週間以上前に入れる計画へ切り替えます。
見えている症状考えられる原因確かめかたと手当て
双葉から進まず枯れる酸性が強い酸度を測る。次作までに苦土石灰
葉が黄ばみ追肥に反応しない酸性か根の障害根を掘って伸びているかを見る
新葉だけ白く抜ける石灰の入れすぎ石灰を止め、次作では入れない
新芽が縮れて芯が止まる未熟な有機物とコナダニ堆肥を入れた時期をさかのぼる

酸度と有機物は、どちらも「入れた時期」で結果が決まります。症状が出てから足すのではなく、記録を見て次作の予定を組み直してください。

ほうれん草の土づくりに使うもの

土づくりは「何を入れるか」より「いつ入れるか」で結果が変わります。石灰と肥料は同時にまかず、1 週間は空けます。

数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。

  • 土壌酸度計探す言葉「土壌酸度計」
    規格の目安
    土に挿して読む針式か、デジタル式。pH 4〜9 を 0.2 刻みで読めれば十分です。

    石灰の量は本来 pH を測ってから決めるものです。測らずに毎年まき続けると、アルカリ側へ寄って別の障害が出ます。

  • 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 バーク」
    規格の目安
    牛ふん堆肥は肥料分もあり、バーク堆肥は土をふかふかにする働きが中心です。
    数量の目安
    1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。

    入れてすぐ効くものではなく、微生物が分解して初めて土が変わります。植え付けの 2〜3 週間前までに入れます。

  • 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
    規格の目安
    粒状。マグネシウム(苦土)も一緒に補えます。
    数量の目安
    1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。

    まいたら耕して 1 週間ほど置きます。元肥と同時に入れると、窒素がアンモニアとして抜けてしまいます。必要な量は土質で変わるので、pH を測ってから決めます。

    出典: 農林水産省「土壌改良資材量のもとめ方」(施肥基準)

  • くわ(平ぐわ)探す言葉「平ぐわ 家庭菜園」
    規格の目安
    刃幅 18cm 前後。柄の長さは身長の 6 割くらいが振りやすい目安です。

    畝立てと土寄せの両方に使います。1 本あるかどうかで、土づくりにかかる時間がまるで変わります。

買わなくてよいもの・代わりになるもの
  • 微生物資材や活力剤は、堆肥を入れているなら急ぎません。
  • 小さな区画なら、耕運機より三角ホーとくわのほうが小回りが利きます。

ほうれん草の収穫までのコツは作物ページに

栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はほうれん草の育て方にまとめています。

iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。

この記事は広告を含みます。

次に読む

ほうれん草について、続けて読むならこちら。

Gadenin 栽培記録アプリ・無料アプリを入れる