種まきの手順
すじまきが基本です。板の角や支柱を押しつけて深さ1センチのまき溝を作り、底を平らにしてから種を落とします。溝の底が平らだと種の深さがそろい、発芽日もそろいます。ばらまきは間引きの判断がしにくく、株元の風通しも悪くなるので勧めません。

覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
| 項目 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 条間 | 15〜20センチ | 葉が広がる品種と越冬させる作型は広いほうを取る |
| 種の間隔 | 1〜2センチ | 間引きで捨てる前提。詰めすぎると徒長する |
| 覆土の厚さ | 1センチ前後 | 浅いと乾き、2センチを超えると出芽に力を使い切る |
| まいた後 | 手のひらで軽く押さえる | 種と土を密着させ、吸水を早める |
発芽がそろわない三つの原因
ほうれん草の種は、他の葉物と比べて明らかに発芽しにくい種です。原因は三つで、果皮が硬くて水を吸うのが遅いこと、25℃を超えると発芽率が急に落ちること、そして高温にさらされた種が休眠に入ってしまうことです。まき方の丁寧さより先に、この三つのどれに当たっているかを見ます。
発芽適温は15〜20℃で、この帯なら3〜5日でそろいます。25℃を超えると発芽率が目に見えて下がり、30℃台後半ではほとんど出ません。9月上旬にまいて出なかったという失敗は、腕ではなく地温の問題です。
水が足りないのも同じくらい多い原因です。ほうれん草は吸水に時間がかかるため、表面が乾く程度の水やりでは種の周りだけ乾いて途中で止まります。発芽までは表土を乾かさないことを最優先にします。
| 地温 | 発芽までの日数 | 起きること |
|---|---|---|
| 10℃前後 | 10〜14日 | 出るが遅く、そろいにくい |
| 15〜20℃ | 3〜5日 | もっともよくそろう |
| 25℃前後 | 出ても不ぞろい | 発芽率が落ち、欠株が出る |
| 30℃以上 | ほぼ出ない | 休眠に入り、その種は使えない |
まき直しの判断は7〜10日で。それ以上待っても出ない種はまず出ません。原因を直してからまき直します。
種の形で処理が変わる
袋を開けたとき、種の見た目で必要な手間が決まります。とげのある殻付き、丸く削った裸種子、色のついた粉衣・被覆種子の三つがあり、後ろにいくほど発芽がそろいやすくなっています。家庭菜園で発芽に悩むなら、まず処理済みの種を買うのが最短の解決です。
- 殻付き(とげのある種)
- 果皮が厚く吸水が遅いので、一晩の吸水がいちばん効きます。安価で在来種に多く、東洋系の品種はこの形が残っています。
- 裸種子(丸く削ったもの)
- 果皮を削ってあるため吸水が速く、そのまままいてもそろいます。ただし乾燥にも弱いので、まいたあとの水管理は手を抜けません。
- 粉衣・被覆種子(色つき)
- 殺菌剤や吸水促進の処理が施され、粒が大きく1粒ずつまきやすい。水に浸すと処理が流れるので、吸水も催芽もせずそのまままきます。
| 種の見た目 | 必要な処理 | まく前にやること |
|---|---|---|
| とげのある殻付き | 吸水させる | 一晩水に浸け、水気を取る |
| 丸く削った裸種子 | 処理は要らない | そのまままき、乾かさない |
| 色のついた粉衣・被覆種子 | 浸けてはいけない | 袋の表示どおりそのまままく |
色つきの種を一晩水に浸してしまうと処理が落ちて逆効果です。袋に浸水不要と書かれていたら従います。
吸水と催芽の手順
- 1 一晩水に浸ける
- 殻付きや裸種子を、常温の水に半日から一晩浸けます。24時間を超えると酸素が足りず種が傷むので、翌朝には必ず引き上げます。
- 2 水を切って表面を乾かす
- ざるに上げ、ペーパーで表面の水気を取ります。べたついたままではまくとき指にくっつき、間隔がそろいません。
- 3 冷蔵庫で2〜3日置く
- 湿らせたペーパーで包んで密閉容器に入れ、野菜室に置きます。低温が休眠を覚ますので、高温期の発芽不良にはこの工程が効きます。
- 4 根が出かけたらまく
- 白い根が1ミリほど見えた時点でまきます。伸ばしすぎると、まくときに根が折れてその種は死にます。見えた日にまくのが原則です。
催芽した種はまいた後に乾かすと一気に枯れます。催芽をやるなら、水やりを続けられる日程でまきます。
高温期にまくときの補助
- 畝に先に水を打つ
- まく前日にたっぷり潅水して地温を下げ、土を湿らせておきます。乾いた畝にまいてから水をやるより、種の周りの水分が安定します。
- 寒冷紗を浮かせてかける
- 畝の上に支柱でトンネル状にかけ、直射と雨滴を和らげます。地面に直接置くと熱がこもるので、必ず浮かせます。
- 夕方にまく
- 日中の高い地温を避け、夕方にまいて夜のうちに吸水させます。翌朝の水やりまでの時間が短くなり、乾燥の危険が減ります。
- 1週間ずらす勇気を持つ
- 9月上旬に30℃が続くなら、無理にまかず中旬に回します。1週間遅らせたほうが結果的に早く収穫できることは珍しくありません。
発芽してからの10日
双葉がそろったら、水やりの回数を減らして根を下へ誘導します。発芽までは毎日、発芽後は表土が乾いてからに切り替えるのが基本です。ずっと湿らせたままだと根が浅く張り、後の乾燥と病気に弱い株になります。
発芽ぞろいが7割を切ったら、空いた列に追いまきをしても株の大きさがそろわず収穫がばらつきます。半分以上欠けたときはいったん耕し直し、原因(地温か水か種の処理か)を一つ直してからまき直すほうが早く終わります。
出た芽が徒長(間のびして弱く伸びること)して倒れるのは、覆土が浅いか光が足りないかです。土を軽く寄せて株元を支えます。
ほうれん草の種まきでよくある質問
ほうれん草の種はいつまく?
地域と地温に合わせる。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
ほうれん草の種はどうやってまく?
すじまき / ばらまきが目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
ほうれん草の種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
ほうれん草の種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
ほうれん草は何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
ほうれん草の間引きはいつする?
葉が触れ合い始めた段階で、生育の良い株を残しながら数回に分けます。詳しい段階は本文で確認してください。
ほうれん草の種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
ほうれん草の収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はほうれん草の育て方にまとめています。
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