警戒するものは月ごとに入れ替わる
イチゴの被害は、時期ごとに主役が交代します。秋は苗とともに持ち込まれる病気、冬はほとんど動きがなく、春はうどんこ病とアブラムシ、実がつき始めると灰色かび病、初夏はハダニとナメクジ、という順です。
この順番を知っていると、症状が出てから調べるのではなく、その月に何を見るかを先に決められます。とくに灰色かび病は広がり始めると止まらないので、開花前に環境を整えておくことがすべてです。
見回りは週に二回、実がつき始めたら二日に一度が目安です。新葉の裏と花房の中を見て、色の変わった部分がないか確かめておくと、手当てに入る判断が早くなります。
| 時期 | 警戒するもの | 見る場所 |
|---|---|---|
| 9月から10月 | 苗が持ち込む病気 | 葉柄とクラウンの断面 |
| 3月から4月 | アブラムシ、うどんこ病 | 新葉の裏と花房 |
| 4月から6月 | 灰色かび病 | 色づいた実と花がら |
| 5月から8月 | ハダニ、ナメクジ | 葉裏と鉢の底 |
灰色かび病は薬より環境で防ぐ
灰色かび病は実や花に灰色のかびが生え、隣の実へ次々と移ります。原因は多湿と、傷んだ組織を放置することです。菌はどこにでもいるため、なくすのではなく、増える条件を作らないという考え方をします。
- 実を地面につけない
- 黒マルチかわらを敷き、実が土に触れないようにします。泥はねが直接の感染源になるため、これだけで発生はかなり減ります。
- 風を通す
- 葉が茂りすぎたら古い葉をかき、株間を確保します。プランターに株を詰め込まないのも、同じ理由からです。
- 傷んだ実を残さない
- かびた実や枯れた花がらは見つけしだい取り、畑の外へ出します。株元に落とすと、そこが次の発生源になります。
- 水は株元へ与える
- 上から水をかけると花と実がぬれます。晴れた日の午前中に、株元の土へ静かに与えるようにします。
- 覆いは昼に開ける
- トンネルやビニールで囲っているときほど中が多湿になります。晴れた日中は必ず開けて、夕方までに株を乾かします。
雨の予報が出たら、色づいた実を先に採っておくのが最も確実な予防です。採り遅れた1個から広がります。
春のうどんこ病とアブラムシ
うどんこ病は葉の裏や実に白い粉をふき、乾いた暖かい時期に出ます。窒素の多い株、風通しの悪い株から始まるので、追肥(育てている途中で足す肥料)の量とマルチの張り方がそのまま予防になります。
アブラムシは新葉と花房に群がり、生育を止めるうえにウイルスを媒介します。3月の芽が動くころから見回りを始め、数が少ないうちに手で取るか、水で洗い流します。
| 見えている症状 | 疑うもの | 予防として効くこと |
|---|---|---|
| 葉裏や実が白く粉をふく | うどんこ病 | 窒素を控え、古葉をかく |
| 新葉が縮れて群がる虫 | アブラムシ | 3月から見回り、早く手で取る |
| 花の中心が黒い | 遅霜の被害 | 冷える夜だけ不織布をかける |
| 葉に黒い小斑点 | 苗由来の病気 | 発病株を早く抜いて処分する |
初夏のハダニとナメクジ
ハダニは葉の裏につき、葉がかすれたように白っぽくなります。乾いた高温で急に増えるため、5月以降は葉裏に水をかけて湿らせるだけでも密度を抑えられます。
ナメクジは夜のうちに実をかじります。かじられた跡から傷み、そこが灰色かび病の入り口になります。鉢の底や敷きわらの下に潜むので、夕方に見回るか、実を地面から離す仕立てにします。
- 葉裏へ水をかける
- 晴れた日の午前中に、葉の裏へ勢いよく水をかけます。ハダニは乾燥を好むので、これだけで増え方が変わります。
- かすれた葉は取る
- 白くかすれた古い葉は光合成もほとんどしません。まとめて取り除くと、密度を下げながら風通しもよくなります。
- 夕方に見回る
- ナメクジは日が落ちてから動きます。鉢の底、敷きわらの下、レンガの裏を返して、潜んでいる場所ごと片づけます。
- 実を宙に浮かせる
- 吊り鉢や高い畝にして実を地面から離すと、ナメクジも泥はねも同時に減ります。仕立てで防ぐのが最も長もちします。
苗から持ち込む病気を避ける
株ごと枯れる病気の多くは、苗とともに畑へ入ります。葉柄に黒い斑点がある、株の片側だけ葉が小さい、そうした苗は値段が安くても植えないのが原則です。
自分でランナーから苗を採る場合、病気の株から採ると翌年へ持ち越します。収穫期に元気で実つきの良かった株だけを親株に選び、少しでも不調だった株は採苗に使いません。
- 葉柄の黒い斑点
- 3ミリから7ミリのへこんだ黒い斑点は炭疽病の典型です。高温と多湿、泥はねで広がるので、育苗中の頭からの潅水を避けます。
- 新葉のゆがみ
- 新しい葉が小さくねじれ、株の片側だけ育たないときは根や導管の病気を疑います。回復しないので早く抜きます。
- ポットを地面に置かない
- 育苗中のポットは棚や台へ上げます。地面に直置きすると、潅水と雨の泥はねで菌が跳ね上がって葉に付きます。
同じ場所で毎年イチゴを作ると土の病気が増えます。畑では2年から3年空け、プランターは毎年新しい用土に替えます。
出てしまったあとの手当て
灰色かび病が出た株は、発病した実と花がらをすべて取り、まわりの葉も整理して風を通します。残った実に広がるかどうかは、その後の湿度で決まります。取り除いたものは畑に置きません。
株全体が萎れ、片側の葉だけが小さいまま回復しない場合は、根や株元の病気を疑います。周囲へ広げないよう株ごと抜いて処分し、その土は使い回さないようにします。
| 起きたこと | その日にやること | 翌年に変えること |
|---|---|---|
| 実に灰色のかび | 実と花がらを畑の外へ出す | マルチと株間を見直す |
| 株が片側から萎れる | 株ごと抜いて処分する | 親株を替え、場所を変える |
| 葉が白く粉をふく | 古葉をかいて風を通す | 追肥の窒素を減らす |
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