ランナーが出る時期と切る時期
収穫が終わる6月ごろから、株元より細いつるが伸び始めます。これがランナーで、先に子株をつけながら次々と伸びていきます。イチゴは種からではなく、このランナーで殖やすのが基本です。
収穫中の3月から5月にランナーが出たら、根元から切ります。実に回るはずの養分を取られるためです。逆に、収穫が終わったら切るのをやめ、伸ばして苗を作る側へ切り替えます。
| 時期 | ランナーの扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 3月から5月 | 見つけしだい根元から切る | 実へ回る養分を取られる |
| 6月 | 切るのをやめて伸ばす | 子株を作らせる |
| 7月 | ポットで受けて根づかせる | 掘り上げで根を傷めない |
| 8月 | 切り離して苗として育てる | 秋の花芽分化に間に合わせる |
親株にする株の選び方
苗の質は親株で決まります。収穫期に病気が出ず、実つきと味の良かった株に印をつけておき、それを親株として残します。株は年を重ねると勢いが落ちるので、親株は毎年入れ替えます。
- 収穫中に印を付ける
- 採りながら、実つきと味の良い株にひもや札を付けます。6月に見比べても、どれがよく採れた株かは分かりません。
- 病気の株は外す
- 灰色かび病が多かった株、葉が片側だけ小さかった株は候補から外します。苗を通して翌年へ持ち越すためです。
- 必要な数を決める
- 1株の親から使える子株はおよそ3株から5株です。植えたい数を先に決め、その3割増しを目標に親株を残します。
同じ系統から採り続けると、その株が持つ病気も引き継がれます。3年に一度は新しい苗を買い、系統を入れ替えると安心です。
太郎苗を使わない理由
親株から数えて最初にできる子株を太郎苗と呼びます。太郎苗は親に近いぶん、親が病気を持っていた場合に最も濃く受け継ぎます。また株が大きくなりすぎて、秋の花芽分化(翌年の花のもとが枝の中にできること)が遅れがちです。
そこで使うのは、その先の次郎苗と三郎苗です。親から距離があるので病気を持ち込みにくく、大きさもそろいます。四番目より先は充実が足りないことが多いため、実際には次郎と三郎が中心になります。
| 子株 | 親からの位置 | 苗に使うか | 理由 |
|---|---|---|---|
| 太郎苗 | 1番目 | 使わない | 病気を濃く受け継ぐ |
| 次郎苗 | 2番目 | 使う | 大きさがそろい健全 |
| 三郎苗 | 3番目 | 使う | 秋までに十分育つ |
| 四郎苗より先 | 4番目以降 | 余れば使う | 充実が足りないことが多い |
太郎苗そのものは使いませんが、ランナーは切らずに伸ばします。切ってしまうと、その先の次郎苗へつながりません。
子株をポットで受ける手順
- ポットを先に置く
- 直径9センチほどのポットに培養土を入れ、子株の真下へ置きます。畑の土へ直接根づかせると、掘り上げるときに根を切ってしまいます。
- 中心を土に触れさせる
- 子株の中心が土に接するよう、ピンや小石でランナーを押さえます。このときもクラウンを埋めないことが大切です。
- 向きをそろえて置く
- ポットを一列に並べ、親側のランナーが同じ方向へ来るようにします。切り跡の向きがそろい、秋の植え付けが早く済みます。
- 切り離す時期
- 根が出てポットの底に回るまで、およそ3週間から4週間かかります。それまではランナーでつないだままにしておきます。
- 切り方と向き
- 親側のランナーを2センチほど残して切ります。この残した跡が植え付けのときの向きの目印になるので、根元ぎりぎりで切らないようにします。
夏の子株管理
7月から8月は高温と乾燥で枯らしやすい時期です。ポットは半日陰に置き、朝と夕に水を与えます。受け皿にためた水は日中に熱くなるので使いません。
肥料は薄い液肥を10日おき程度にとどめます。9月に入ったら肥料を切り、やや乾かし気味に管理すると花芽の分化が進みやすくなります。ここで肥料が残っていると、葉ばかりの苗になります。
- 置き場所
- 午前だけ日が当たる場所が最適です。コンクリートの上に直置きすると照り返しで鉢内が高温になるので、棚や板の上へ上げます。
- 水やり
- 朝と夕方の2回、鉢底から流れるまで与えます。日中に萎れても、暑い時間の潅水は根を傷めるので夕方まで待ちます。
- 9月の肥料切り
- 9月に入ったら液肥をやめます。株の中の窒素が下がると花芽ができやすくなり、10月の植え付けに間に合います。
植え付けまでに仕上げたい姿
10月の植え付け時点で、本葉3枚から5枚、クラウンの直径が1センチ前後、根が白くポットに回っている状態が目標です。この太さが、そのまま翌春の花房の数につながります。
苗が細いまま秋を迎えたら、無理に定植せずポットでもう少し育てます。ただし11月を過ぎると根が張らないので、その年は購入苗に切り替える判断も必要になります。
| 見るところ | 10月上旬の目標 | 足りないときの手当て |
|---|---|---|
| クラウンの太さ | 直径1センチ前後 | 定植を10日ほど遅らせる |
| 本葉の数 | 3枚から5枚 | 古い下葉を整理する |
| 根の色 | 白く鉢に回る | 一回り大きい鉢へ移す |
| ランナーの跡 | 2センチ残っている | 向きを札に書いておく |
仕上がった苗は、切り跡の向きを確認してから植えます。ここを見ておくと、花房を通路側へそろえられます。
子株が育たないときの手当て
採苗でつまずく原因は、親株の疲れと水切れのどちらかがほとんどです。子株そのものを責める前に、親株の葉数と、ポットの土が乾いていないかを見ます。
- ランナーが出ない
- 六月になっても伸びないのは、実を付けすぎて株が疲れているか肥料が足りない状態です。花房を早めに切り、薄い液肥を二週間おきに与えます。
- 子株が根を張らない
- ポットの土が乾くと発根が止まります。受けた日から二週間は毎日水を与え、株元を軽く押さえて浮いた子株を土に密着させます。
- 葉に黒い斑点が出た
- 炭疽病の疑いがあるので、頭から水をかけるのをやめます。傷んだ子株は切り離して処分し、その先につながる苗も使いません。
- 切り離しが遅れた
- 九月を過ぎても親とつながっていると、根が浅いまま植え付けになります。切り離してから二週間ポットで慣らし、それから畝へ移します。
子株が足りない年は、無理に太郎苗まで使わず株数を減らします。細い苗を植えても、翌春の収穫はほとんど期待できません。
イチゴの種取り・株分けに使うもの
来年も同じものを育てるなら、しまい方でその種の寿命が変わります。
- チャック付き保存袋探す言葉「チャック袋 小分け 種」
- 規格の目安
- 小さめのもの。品種名と採った年を書けるラベル面のあるものが便利です。
種は湿気で寿命が縮みます。封のできる袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に置くのがいちばん簡単です。
- 乾燥剤(シリカゲル)探す言葉「シリカゲル 乾燥剤 食品用」
- 規格の目安
- 食品用の小袋。色が変わって交換時期の分かるものがあります。
袋に一緒に入れておくだけで、翌年の発芽率が変わります。
- F1 品種の種を採っても、親と同じものにはなりません。採るなら固定種を選びます。
- 専用の種子保存容器は要りません。袋と乾燥剤で足ります。
イチゴの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はイチゴの育て方にまとめています。
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