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イチゴの苗選びと植え付け

イチゴの苗選びと植え付け|クラウンの向きと深さ、10月が適期

イチゴの栽培イメージ

読むのに約 6

植え付けはクラウンを埋めないことと、ランナー跡の向きでほぼ決まります。

植え付け適期は10月中旬前後

イチゴの苗は、根が伸びる地温が残っている秋のうちに植え付けます。目安は暖地で10月中旬から下旬、中間地で10月上旬から中旬、寒冷地では9月下旬から10月上旬です。遅れると根が張らないまま寒さに入り、春の花房が小さくなります。

早すぎる植え付けも損をします。9月上旬のまだ暑い時期に植えると、株が休眠へ向かう前に葉ばかり茂り、花芽の分化が鈍ります。花芽は日が短くなり気温が下がる時期に作られるため、その手前で根を落ち着かせるのが理想です。

クラウンを土に埋めないようイチゴ苗を植え付ける様子
イチゴはクラウンを埋めずに植え、植え付け後は株元をやさしく押さえます。
地域植え付け収穫の始まり
暖地10月中旬〜下旬翌4月中旬〜
中間地10月上旬〜中旬翌5月上旬〜
寒冷地9月下旬〜10月上旬翌5月下旬〜

11月に入ってから植える場合は、根鉢を崩さずに植え、株元へもみ殻や腐葉土を厚めに敷いて地温を保ちます。

良い苗の見分け方

苗は一株ずつ手に取って選びます。見るのは値段や葉の枚数ではなく、クラウンの太さと根の色です。この二つがそろっていれば、多少葉が少なくても秋のうちに追いつきます。

クラウンが太い
株の中心にある短い茎がクラウンです。鉛筆ほどの太さ、直径1センチ前後あるものを選びます。ここに翌春の花房が詰まっているため、太さがそのまま収量になります。
本葉が3枚から5枚
葉数が多すぎる苗は徒長(間のびして弱く伸びること)苗や老化苗のことがあります。濃い緑で厚みがあり、葉柄が短く締まった苗が理想です。黄ばんだ下葉が目立つものは避けます。
根が白い
ポットの底から見える根が白ければ健全、褐色や黒ずみがあれば根の傷みを疑います。根鉢が固く回りきったものより、軽く崩れる程度の若さが適当です。
ランナー跡が残っている
親株とつながっていた茎の切り跡が、クラウンの片側に残っています。この跡が植え付けの向きを決める目印になるので、切り落とされていない苗を選びます。
葉柄に黒い斑点がない
葉柄やランナーの跡に3ミリから7ミリほどの黒いへこんだ斑点があれば炭疽病を疑います。植えたあとに株ごと枯れるので、その一株だけでなく同じ棚の苗を避けます。

クラウンは埋めない、浮かせない

最も多い失敗が深植えです。クラウンを土に埋めると、そこから新しい葉が出られずに蒸れて腐り、株ごと枯れます。クラウンの上半分が地表に見えている状態が正解で、土をかけるのは根の部分までにとどめます。

逆に浅すぎて根が露出していると、乾燥と霜柱で根が持ち上がり、活着しません。植え穴に苗を置いたとき、クラウンの下端が地面と同じ高さになるよう調整し、まわりの土を軽く押さえて固定します。

植え穴を掘る
根鉢がそのまま入る深さだけ掘ります。深く掘って土を戻すと、あとで沈んでクラウンが埋まるので、掘りすぎないほうが確実です。
高さを合わせる
根鉢の肩と畝の表面が同じ高さになるよう置きます。根鉢の上に新しい土をかぶせないことが、そのままクラウンを埋めない手順になります。
土を寄せて押さえる
すきまへ土を入れ、根鉢の外周だけを指で押さえます。株の中心を上から押すと沈むので、力をかける場所を分けて考えます。
植えた日だけ十分に水を与える
株元へ静かに、鉢の土と畝の土がつながるまで与えます。以降は乾いたときだけにし、常に湿った状態を作らないようにします。

水やりで土が沈み、あとからクラウンが埋まることがあります。植え付けの1週間後にもう一度、株元の高さを見て土を寄せ直すと確実です。

ランナー跡を通路側に向ける

イチゴの花房は、ランナーが出ていた側とは反対、つまりクラウンから見て切り跡の裏側に伸びます。切り跡を畝の内側や壁側へ向けて植えると、実は通路側に垂れ、収穫も見回りも楽になります。

向きをそろえる効果は収穫だけではありません。実が同じ方向に集まるので、マルチの上へ載せやすく、泥はねと灰色かび病を減らせます。株ごとに向きがばらばらだと、葉の下に隠れた実を見落とします。

切り跡を先に探す
ポットから抜く前に、クラウンの側面を一周見て、細い茎の切り跡を見つけます。土で隠れているときは指で軽く払って確かめます。
二条植えの向き
畝に2条植えるときは、切り跡を畝の中央へ向けます。両側の株の花房が外へ、つまり通路側へそろって垂れます。
プランターの向き
切り跡を鉢の中心側へ向けると、実が鉢の縁の外へ垂れます。実が土や葉に触れないので、灰色かび病とナメクジの被害が減ります。

切り跡が分かりにくい苗は、葉柄の付き方が扇形に開く向きを見ます。扇の開く側へ花房が出ると考えて差し支えありません。

畝の作り方と土づくり

イチゴはやや酸性寄りの土を好み、石灰の入れすぎを嫌います。適する酸度はペーハー5.5から6.5で、酸性が強い畑でなければ石灰は控えます。元肥(植える前に土へ混ぜておく肥料)も控えめにし、窒素が多いと葉が茂って花が減り、うどんこ病も出やすくなります。

畝は高さ20から30センチの高畝にし、幅60センチで2条、株間は25から30センチが目安です。高畝にするのは、冬の過湿を避けて根を健全に保つためと、春に実が地面へ触れにくくするためです。

資材1平方メートルの目安入れる時期
完熟堆肥2キロ前後植え付けの2週間前
緩効性の化成肥料50から100グラム植え付けの1週間前
苦土石灰酸性が強いときだけ100グラム堆肥より前

黒マルチは12月以降、寒さで株が締まってから張ります。秋のうちに張ると地温が上がりすぎ、休眠が浅くなって春の生育がそろいません。

一季なりと四季なりを選び分ける

売られている苗には、春だけ実る一季なりと、春から秋まで断続的に実る四季なりがあります。栽培の暦がまるで違うので、買う前にラベルで確かめます。ここまでの手順は一季なりを前提にしています。

四季なりは気温15度から30度の幅で花を着け続けるかわりに、一粒が小さく、真夏は受粉不良で形が乱れがちです。長く採りたい人やベランダ向き、大きく甘い実を狙うなら一季なりと考えると外しません。

性質収穫の時期植え付け向く場面
一季なり翌4月〜6月に集中10月が中心畑で大きい実を狙う
四季なり5月〜10月に断続秋または春少しずつ長く採る

四季なりは多肥と多湿に弱く、肥料を効かせすぎると実が着かずに葉だけ茂ります。追肥(育てている途中で足す肥料)は薄く回数で調整します。

プランターと吊り鉢で育てる

プランターは深さ20センチ以上、幅65センチのもので2株が上限です。詰めて植えると風が通らず、実が着いても灰色かび病で落とします。用土は市販の野菜用培養土で足りますが、鉢底石を必ず入れて水はけを確保します。

吊り鉢やストロベリーポットは、実が地面に触れないので病気に強く、ナメクジの被害も減ります。ただし土が少なく乾きやすいため、春の実が太る時期は毎日の水やりが必要です。冬は逆に、乾かしすぎない範囲で控えます。

容器深さの目安植えられる株数
幅65センチのプランター20センチ以上2株
丸鉢直径24センチ以上1株
吊り鉢直径30センチ前後1株から2株

鉢植えは根が凍りやすいので、真冬は壁際や軒下へ寄せます。土が凍結すると水を吸えず、葉が縮れて春の立ち上がりが遅れます。

イチゴの植え付けに使うもの

植え付けの日にそろっていないと後から張り直しになるのが、マルチと防虫ネットです。苗を買う前に用意しておきます。

数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。

  • 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 穴あき 95cm」
    規格の目安
    幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が早いです。
    数量の目安
    畝 1 本(3m)で 4m。両端を埋めるぶんが要るので、畝の長さ + 1m で見ます。

    地温を上げ、雨のはね返りを止め、雑草を抑えます。土からはねる泥は病気の入り口なので、病気が出やすい畑ほど効きます。

  • マルチ押さえ(U 字ピン)探す言葉「マルチ押さえ ピン」
    規格の目安
    長さ 15cm 前後の鉄製。プラスチック製より風に強いです。
    数量の目安
    畝 1 本で 20〜30 本。50cm 間隔が目安。

    マルチは土をかぶせて留めるのが基本ですが、風の通る場所ではピンを足さないと一晩でめくれます。

  • 防虫ネット探す言葉「防虫ネット 目合い1mm」
    規格の目安
    目合い 1mm、幅 180cm。トンネル支柱(長さ 210cm・直径 8mm)と合わせて使います。
    数量の目安
    ネットは畝 1 本(3m)で 4m。支柱は 50cm 間隔で 7 本。

    1mm はモンシロチョウやコナガなど、卵を産みに来る蛾や蝶を止めるための目です。アブラムシやアザミウマはこれでは通ります。狙う虫で目合いを決めてください。

    出典: 農研機構「0.6mm 目合いネットによるアブラナ科野菜害虫の侵入阻止効果」

  • 移植ごて探す言葉「移植ごて ステンレス」
    規格の目安
    幅 6〜8cm のステンレス製。目盛りの付いたものは植え穴の深さを見るのに使えます。

    根鉢と同じ大きさの穴を掘るための道具です。柄と刃が一体になっているものは曲がりません。

買わなくてよいもの・代わりになるもの
  • 支柱を立てない作物なら、トンネル支柱は要りません。
  • 穴なしマルチをカッターで開ければ、株間の違う作物にも 1 本で使い回せます。

イチゴの収穫までのコツは作物ページに

栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はイチゴの育て方にまとめています。

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