冬に株が縮むのは休眠のため
11月下旬から気温が下がると、イチゴは休眠に入ります。葉は地面へ張りつくように小さくなり、新しい葉もほとんど出ません。止まったように見えますが、この間に株は寒さに当たった時間を数えており、一定量の低温を受けて初めて春に動き出します。
したがって冬にやることは、伸ばすことではなく守ることです。暖かくして生長させようとすると休眠が浅くなり、春の花房が少なくなったり、生育がだらだらと不ぞろいになったりします。
| 時期 | 株の様子 | この時期にやること |
|---|---|---|
| 11月 | 葉が伏せて小さくなる | 秋の花を摘む、追肥はしない |
| 12月 | 新葉が止まる | 古葉かき、マルチ張り |
| 1月 | 完全に休眠 | 見回るだけ |
| 2月 | 中心の葉が動き出す | 古葉かきと追肥 |
葉が赤くなるのは異常ではない
冬のイチゴは下葉から赤や紫に色づきます。低温で光合成の産物を使い切れず、葉に色素がたまるためで、多くは正常な反応です。株の中心にある新しい葉が緑を保っていれば、心配は要りません。
見分けたいのは、株全体が赤黒く枯れ込み、中心の葉まで変色している場合です。根が傷んでいるか、深植えでクラウンが腐りかけている可能性があります。株元の土を軽くどけて、クラウンが埋まっていないか確かめます。
| 見えている状態 | 考えられる原因 | その場でやること |
|---|---|---|
| 下葉だけ赤い、中心は緑 | 低温による正常な変色 | そのままにする |
| 株全体が赤黒く縮む | 根の傷みか深植え | 株元を掘って高さを直す |
| 葉が縮れて薄くなる | 鉢土の凍結か乾燥 | 軒下へ移し昼に水を与える |
| 葉が持ち上がって浮く | 霜柱による根の浮き | 踏まずに土を寄せ直す |
肥料切れでも葉は赤みを帯びます。ただし冬の追肥(育てている途中で足す肥料)で回復させようとせず、2月まで待つほうが春の姿は安定します。
古葉かきの時期と手順
- 12月に一度行う
- 枯れた葉、黄色くなった葉、地面へ伏せた古い葉を株元から取り除きます。残すのは中心の緑の葉3枚から5枚で十分です。
- 手で下へ引く
- 葉柄を持って下へ引くと付け根から外れます。はさみを使う場合は株元に切り残しを作らず、切りくずを土の上へ落としたままにしません。
- なぜ取り除くのか
- 枯れ葉は灰色かび病の菌が冬を越す場所になります。取り除けば春の発病源が減り、同時に株元へ光と風が入って新葉の展開が早まります。
- 取りすぎない
- 緑の葉まで落とすと春の立ち上がりが遅れます。冬の株は葉の数だけで寒さをしのぐので、色の残る葉は残すのが原則です。
- 2月にもう一度
- 追肥の前に、冬の間に傷んだ葉をもう一度整理します。このとき伸び始めたランナーがあれば、根元から切り取ります。
冬の水やりは控えめにする
露地植えでは、冬の水やりは基本的に不要です。休眠中は吸い上げる量が少なく、湿った状態が続くと根が傷みます。地面が乾いて見えても、雨だけで足ります。
鉢植えは別で、土の表面が乾いて数日たったら、暖かい日の午前中に与えます。夕方に与えると夜間に凍って根を痛めます。量は鉢底から流れる程度で構いませんが、受け皿に水をためないようにします。
| 育て方 | 冬の水やり | 与える時間 |
|---|---|---|
| 露地の畝 | 原則として不要 | 雨に任せる |
| プランター | 乾いて数日たったら | 晴れた日の午前 |
| 吊り鉢 | 週に一度ほど | 晴れた日の午前 |
防寒とマルチを張る時期
イチゴは氷点下の寒さにも耐えますが、霜柱で根が持ち上げられるのが問題です。株元にもみ殻や刻んだわらを敷くと、地表の凍結がやわらぎ、株の浮き上がりを防げます。
黒マルチは12月から2月上旬に張ります。目的は保温よりも、春の泥はね防止と雑草の抑制です。張るときはクラウンの位置に穴を開け、葉を穴から引き出して、株元がマルチで覆われないようにします。
- 先に古葉をかく
- マルチを張ってからでは株元に手が入りません。枯れ葉を片づけ、株元の高さを直してから資材をかけます。
- 穴の位置を決める
- 株の真上に印を付けてから切ります。位置がずれると葉を無理に引き出すことになり、葉柄が折れて傷口から病気が入ります。
- 葉を穴から出す
- 中心の葉をすべて穴の外へ出し、クラウンがマルチで覆われないようにします。覆われると蒸れて腐ります。
- 寒冷地は不織布を足す
- べたがけの不織布を重ねると霜と乾いた風を防げます。ただし暖かい日は蒸れるので、2月下旬に新葉が動き出したら外します。
2月の追肥で春の準備をする
追肥は2月中旬から下旬、新葉が動き出す少し前に行います。早すぎると休眠中で吸えず、遅れると花房の充実に間に合いません。1株あたり化成肥料を軽くひとつまみ、株元から少し離した位置に施します。
窒素が効きすぎると葉ばかり茂り、実つきが落ちます。液体肥料を薄めて2週間おきに与えるほうが、量の加減がきいて失敗の少ない方法です。
| 与え方 | 1株あたりの量 | 間隔 |
|---|---|---|
| 粒状の化成肥料 | ひとつまみ、5グラム前後 | 2月に一度 |
| 薄めた液体肥料 | 規定より薄く | 2週間おき |
マルチを張ってあるときは、株の脇をめくって追肥し、元に戻します。上から液肥をかけるだけでは根まで届きません。
冬に傷んだ株の立て直し
冬に弱った株は、手を入れるほど傷みます。まず株の中心を見て、新しい葉が生きているかどうかで残すか抜くかを判断し、直せるものだけを直します。
見切る目安は二月下旬です。中心の芽が動く時期になっても新葉が出ない株は戻らないので、抜いて畝の穴を埋め、翌年の親株の選び方を見直します。
| 株の状態 | 考えられる原因 | その日にやること |
|---|---|---|
| 中心の葉まで黒く枯れる | 霜柱で根が浮いて乾いた | 土を寄せて敷きわらを足す |
| 株がぐらついて手で動く | 根が切れて活着していない | 押さえ直し二月まで待つ |
| 株元の芽が土に埋まる | 深植えか土が流れ込んだ | 土をどけて高さを直す |
| 鉢土が凍って葉が縮れる | 夕方の水やりと置き場所 | 軒下へ移し午前に与える |
抜いた株の跡には、春まで何も植えません。原因が土の病気だった場合、続けて植えると同じ症状を繰り返します。
イチゴの冬越しに使うもの
越冬する野菜は、寒さそのものより、霜柱で根が持ち上がることで傷みます。土を凍らせないのが目的です。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 防寒 べたがけ」
- 規格の目安
- 目付 20〜30g/㎡。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
ビニールと違って蒸れず、光も通します。かけっぱなしにできるので、冬のあいだ手がかかりません。
- トンネル支柱探す言葉「トンネル支柱 210cm 8mm」
- 規格の目安
- 直径 8mm × 長さ 210cm。畝幅 60cm ならこれで足ります。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 50cm 間隔に 7 本。
不織布を株に直接かけると、霜が降りた朝に葉が張り付いて傷みます。浮かせるだけで違います。
- 敷きわら・もみ殻探す言葉「敷きわら 家庭菜園」
- 規格の目安
- 稲わら 1 束でおよそ 3〜4 ㎡ 分。もみ殻でも代えられます。
- 数量の目安
- 畝 1 本で 1 束の半分ほど。
株元に敷くと、霜柱で根が持ち上がるのを防げます。春には鋤き込んで土に返せます。
- 暖地で耐寒性のある葉物なら、何もかけずに越せるものが多いです。
- ビニールトンネルは、日中に開け閉めできる人向けです。閉めっぱなしだと晴れた日に蒸れます。
イチゴの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はイチゴの育て方にまとめています。
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