一年は四つの季節に分かれる
ワラビの一年は、春の収穫、夏から秋の葉を茂らせる時期、冬の休眠、そして冬から早春の植え付けに分かれます。手をかける時期がはっきり分かれているので、覚えてしまえば迷いません。
収穫できるのは五月から六月のおよそ一か月だけです。この短い期間にどれだけ残して穫るかで、翌年の株の勢いがはっきり変わります。穫る量を先に決めてから畑に入ると、つい穫りすぎることがありません。
| 時期 | 株の様子 | やること |
|---|---|---|
| 4月下旬〜6月 | こぶし状の芽が次々出る | 太い芽を折り取る。3分の1は残す |
| 6月〜9月 | 葉が大きく広がる | 追肥、周りの草刈り |
| 10月〜11月 | 葉が黄ばみ始める | 堆肥を敷く |
| 12月〜3月 | 地上部が枯れて休む | 刈り取り、根株の植え付け |
月別のやることカレンダー
関東平野部の露地を目安にした一覧です。ワラビは手がかからない代わりに、収穫の時期を逃すとその年は終わりなので、春だけは毎日のように見に行くことになります。
芽が出始めた日と、最後に穫った日を記録しておくと、翌年の見回りを始める時期が分かります。同じ場所でも、日当たりの違いで一週間はずれます。
| 月 | 作業 | 要点 |
|---|---|---|
| 1月〜3月 | 根株の植え付け、敷き物の整理 | 休眠中が植えどき |
| 4月 | 芽の見回り開始 | 暖かい年は下旬から出る |
| 5月 | 収穫の最盛期 | 2〜3日に1度見て回る |
| 6月 | 収穫終了、追肥 | 3分の1は必ず残して伸ばす |
| 7月〜8月 | 周りの草刈り、乾いたら水やり | ワラビの葉は刈らない |
| 9月〜10月 | 堆肥を敷く | 翌年の芽の太さにつながる |
| 11月〜12月 | 枯れた地上部を刈る | 刈った葉を敷いて防寒 |
四月から五月は毎日が勝負
地温が上がるとこぶしのような形の芽が土から立ち上がります。芽は暖かい日には一日で十センチ近く伸びるので、二日から三日に一度は見に行かないと開いてしまいます。
先が開いて葉が広がった芽は固くて食べられません。長さ二十センチから二十五センチ、先がまだ握りこぶしの形をしているうちに折り取ります。
- 四月下旬から見回る
- 暖かい年は四月下旬に出始めます。地面を見て、こぶし状の芽が顔を出していないかを確かめます。
- 二日から三日に一度
- 暖かい日が続くと一日で大きく伸びます。間をあけると開いてしまうので、こまめに見に行きます。
- 六月に入ったら終わりにする
- 六月に入ったら収穫をやめ、残った芽をすべて伸ばします。株を休ませて葉を茂らせる時期に切り替えます。
同じ株から出る芽を全部穫ると株が弱ります。株ごとに三分の一は必ず残して葉にし、根茎に養分を戻させます。
夏から秋は放っておくのが仕事
収穫が終わったら、追肥(育ちの途中で足す肥料)を一度施して、あとは葉を茂らせるだけです。夏に手をかけるのは周りの草刈りと、乾いた年の水やりくらいで済みます。
秋に葉が黄ばんできたら、株の上に完熟堆肥を薄く敷きます。分解しながら土をやわらかくし、翌年の芽が出やすくなります。冬の寒さから根茎を守る覆いとしても働きます。
- 六月に追肥を済ませる
- 収穫の終わった週のうちに、化成肥料を株の周りへ広くまき、土と軽く混ぜてから水を与えます。
- 夏は周りの草だけ刈る
- 株の外周を月に一度刈ります。ワラビの葉には手を付けず、日が当たる状態を保ちます。
- 十月に堆肥を敷く
- 完熟堆肥を株の上に二センチほど薄く敷きます。冬の防寒にもなり、春の芽出しがそろいます。
夏に葉が茂りすぎて見苦しく感じても、刈ってはいけません。この葉が翌年の芽を作っていると考えると、手を出さずに済みます。
地域で変わる時期の目安
ワラビの芽が出る時期は、その土地の春の訪れそのものです。同じ県内でも標高が二百メートル違えば一週間ずれるので、近くの山の様子が何よりの目安になります。
| 地域 | 芽が出る時期 | 収穫の中心 | 植え付け |
|---|---|---|---|
| 寒冷地・山間部 | 5月中旬〜下旬 | 5月下旬〜6月 | 3月下旬〜4月 |
| 関東平野部 | 4月下旬〜5月上旬 | 5月 | 12月〜3月 |
| 暖地 | 4月上旬〜中旬 | 4月〜5月上旬 | 11月〜2月 |
予定がずれたときの立て直し
見回りを忘れて芽が開いた、植え付けが遅れた、夏に草に埋もれた。ワラビは丈夫なので、多少のずれは翌年に取り返せます。あわてて無理をしないほうが結果はよくなります。
- 芽が開いてしまった
- その芽は食べられませんが、そのまま伸ばせば葉になって株の力になります。無理に折らず残します。
- 植え付けが四月になった
- 芽が動いていなければ植えられます。動いていたら翌年の冬まで待ち、湿らせて保管します。
- 夏に草に埋もれた
- 周りの草を刈って日を入れます。葉が生きていれば秋までに回復し、翌年の芽に間に合います。
- 収穫を穫りすぎた
- 翌年は収穫を半分に減らし、葉を多く残して株を休ませます。二年ほどで元の太さに戻ります。
ワラビの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
ワラビの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はワラビの育て方にまとめています。
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