まず作型を決める
キャベツは種をまく時期で三つの作型に分かれ、育苗の関門がそれぞれ違います。春まきは低温によるとう立ち(花茎が伸びて葉や根が硬くなること)、夏まきは高温による徒長(間のびして弱く伸びること)と虫、秋まきは冬越しさせる苗の大きさが最大の難所です。どれを狙うかを決めないと、育苗中の温度管理も品種選びも決められません。
家庭菜園で最も失敗が少ないのは夏まき秋冬どりです。高温期の育苗さえ乗り切れば、結球(葉が内側に巻いて玉になること)する時期が涼しさに当たるので玉が締まり、虫の勢いも秋が深まるにつれ落ちていきます。初めての一株なら、七月下旬から八月にまく作型を選んでください。
| 作型 | 播種の目安 | 定植の目安 | 収穫の目安 |
|---|---|---|---|
| 春まき夏どり | 2月〜3月 | 3月下旬〜4月 | 6月〜7月 |
| 夏まき秋冬どり | 7月下旬〜8月 | 8月下旬〜9月 | 11月〜翌1月 |
| 秋まき春どり | 10月〜11月 | 11月〜12月 | 翌4月〜5月 |
表は中間地の目安です。寒冷地は春まきを三週間ほど遅らせ、秋まきの春どりは凍害で消えやすいので夏まきに寄せた方が確実です。
まき方と発芽までの管理
- 容器を選ぶ
- セルトレイなら128穴か200穴、ポットなら直径9センチが扱いやすい大きさです。数株だけなら育苗箱にすじまきして、本葉1〜2枚の頃にポットへ鉢上げしても構いません。
- 覆土は薄く
- 種は深さ五ミリほどにまき、覆土は種が隠れる程度にします。厚いと発芽がそろわず、そろわない苗はそのまま生育差になって、結球する時期が株ごとにばらけます。
- 発芽まで乾かさない
- 発芽適温はおよそ15〜30℃で、条件がよければ3〜5日で芽が出ます。それまでは表土を乾かさないよう朝夕に細かい水を与え、発芽した鉢はすぐ日の当たる場所へ出します。
- 早く一本にする
- 一穴に二粒まいたら、子葉が開いた時点で生育のよい方を残します。遅らせるほど根が絡み、抜いたときに残す側の根まで動かしてしまいます。
定植適期の苗は葉数で見る
植え時の合図は日数ではなく葉数です。ポット苗なら本葉4〜5枚、セル苗なら本葉2.5〜3.5枚で、持ち上げたときに根鉢が崩れずに抜ける状態が適期になります。これを過ぎると容器の中で根が回り、植えてから根が外へ出るまでに時間を食い、そのぶん結球が後ろへずれます。
| 作型 | 育苗日数の目安 | 定植する苗 |
|---|---|---|
| 春まき(2月まき) | 45〜60日 | 本葉4〜5枚 |
| 春まき(3月まき) | 35〜40日 | 本葉4〜5枚 |
| 夏まき(ポット) | 25〜30日 | 本葉4〜5枚 |
| セル成型苗 | 25〜30日 | 本葉2.5〜3.5枚 |
根鉢の確認は、セルを一つ持ち上げて底を見るのが確実です。白い根が底面に回り始めた頃が上限で、茶色く固まっていれば植え遅れです。
徒長させない温度と水
- 夏まきは涼しく育てる
- 高温と過湿が重なると胚軸が伸びて倒れます。育苗箱は地面に直置きせず風の通る棚に上げ、日中は遮光(日ざしを布などでやわらげること)資材で日射を和らげて地温を下げます。
- 春まきは夜の温度を切らさない
- 発芽後は日中15〜20℃、夜間5〜10℃を目安に管理します。晴れた日のトンネル内は25℃を超えるので、日中の換気を怠らないことがそのまま徒長防止になります。
- 水は朝に与える
- 夕方の水やりは夜のあいだ苗を軟らかくします。朝に鉢底から流れるまで与え、日中に表面が乾く程度のリズムを作ると、茎が締まった苗になります。
- 倒れた苗は使わない
- 胚軸が伸びて寝てしまった苗は、植えても風で振られて活着が遅れます。数に余裕があれば捨て、足りなければ植え穴で胚軸を寝かせ、子葉の下まで土を寄せます。
苗を買うときの見分け方
- 茎の太さを見る
- 胚軸が細く間延びしたものは避けます。本葉のつけ根の間隔が詰まり、株全体が上ではなく横へ張っている苗が、植えてから外葉をよく広げます。
- 葉裏を必ず返す
- アオムシとコナガの卵は葉裏につきます。売り場で一枚返し、白や黄色の小さな粒、表皮を残した薄い食害痕がないかを見ます。一株が畑全体の発生源になります。
- 濃すぎる葉を疑う
- 葉が黒く見えるほど濃く、厚く硬い苗は肥料が効きすぎて老化していることがあります。植え付け後の伸びが鈍く、外葉が広がりません。
- 買ったその日に植える
- 店頭に並んだ時点で根は回り始めています。持ち帰ったらその日か翌日に植え、待たせる場合も明るい日陰に置いて鉢土を乾かさないようにします。
とう立ちを呼ぶ育苗の失敗
キャベツは苗が一定の太さに達したあと、低温に一定期間さらされると花芽をつけます。感応するのは平均気温がおよそ13℃以下の状態で、平均5〜7℃で最も効きやすく、一カ月ほど続くととう立ちが決まります。効くのは畑に出てからの寒さだけでなく、育苗中と定植直後の寒さです。
つまり春まきでは、大きく育てた苗を寒い畑へ出すのが最悪の組み合わせです。まく時期を守り、小さめの苗をトンネルの中へ植えて、感応する温度帯に太った株を置かないことが唯一の対策になります。秋まき春どりも理屈は同じで、年内に太らせすぎない方が安全です。
- 品種で逃げる
- 春まきでは、花芽がつきにくい晩抽性と、暑くなる前に採れる早生性を兼ねた品種を選びます。秋まき用の品種を春にまくと、ほぼとう立ちします。
- 定植後も保温する
- 三月に植えるならトンネルか不織布のべたがけを併用します。植えて放置した株が低温に一カ月当たると、育苗をいくら丁寧にしても無駄になります。
- 立ってしまったら
- 花茎が伸び始めた株は元に戻りません。結球は望めないので、蕾が固いうちに摘んで菜花として食べ、空いた場所を早く次の作に回します。
キャベツの育苗に使うもの
苗を自分で作るか、買うか。作るなら次のものが要ります。買うなら、ここは飛ばして定植の準備へ進んでかまいません。
- セルトレイ・ポリポット探す言葉「セルトレイ 128穴」
- 規格の目安
- 128 穴は小さい種向き、72 穴は根を張らせたいとき。ポットなら直径 9cm が標準です。
穴が小さいほど場所を取らず、大きいほど植え傷みしにくくなります。定植までの日数が長い作物ほど大きい容器を選びます。
- 育苗用の受け皿・トレイ探す言葉「育苗トレイ 受け皿」
- 規格の目安
- セルトレイがそのまま載る大きさ。底面から吸わせられる深さがあるもの。
上から水をやると苗が倒れます。受け皿に水を張って下から吸わせると、茎が締まった苗になります。
- 園芸用ヒーターマット探す言葉「園芸 ヒーターマット 育苗」
- 規格の目安
- 20〜30W、表面温度 20〜25℃ 前後。サーモスタット付きだと安心です。
春先の種まきで発芽がそろわない原因はほぼ地温です。室温ではなく、土の温度を上げる必要があります。
- 苗を買って育てるなら、育苗資材は一式要りません。
- 暖かい時期の種まきなら、ヒーターマットは要りません。
キャベツの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はキャベツの育て方にまとめています。
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