仕組みから知るなら ピーマン・トウガラシの枝の増え方と仕立て|花のたびに2本に分かれて倍々に増える
作型ごとのまく時期と植える時期
トウガラシは種まきから定植まで八十日ほどかかり、ピーマンよりも芽が出るまでに日数を要します。関東平野部で五月中旬に植えるなら二月中旬から下旬にまくことになり、この時期は加温がないとまず芽が出ません。赤く熟した実を秋までに十分穫るには、早めにまいて大きな苗で植えるのが有利です。
| 作型 | 種まき | 定植 | 温度の手当て |
|---|---|---|---|
| 加温して早まき | 2月中旬〜下旬 | 5月中旬 | ヒーターマットと保温箱で地温を保つ |
| 保温してまく | 3月上旬〜中旬 | 5月下旬〜6月上旬 | 夜は暖かい部屋に取り込む |
| 加温なしで遅まき | 4月上旬 | 6月中旬〜下旬 | 赤採りが遅れるので青採りも考える |
| 寒冷地 | 3月上旬に加温してまく | 6月上旬 | 植えるまで夜は室内に置く |
系統で違う発芽の早さと、種の取り扱い
同じトウガラシでも、系統によって芽が出るまでの日数と好む温度が違います。鷹の爪のような辛味種や甘長系は一〜二週間で芽が出ますが、ハバネロのような激辛の系統は三十度近い地温を好み、三週間ほどかかることも珍しくありません。芽が出ないと早合点して掘り返さないよう、系統ごとの目安を知っておきます。
- 干した実から種を取る
- 日に干しただけの赤い実なら種が生きています。実を割るときは使い捨ての手袋をはめ、辛味が目や肌に付かないようにします。加熱して乾かした実の種は芽が出ません。
- 一晩水に浸してからまく
- 種皮が硬めなので、まく前の晩にぬるま湯へ浸けておくと芽の出る日がそろいます。浮いた種は中身が詰まっていないことが多いので取り除きます。
- 深さ五ミリに二〜三粒
- 湿らせた種まき用の土を九センチのポットか五十穴ほどのセルトレイに詰め、二〜三粒を五ミリの深さにまきます。土をかけて軽く押さえ、ふたをして乾燥を防ぎます。
| 系統 | 芽が出るまで | 好む地温 | 扱いの注意 |
|---|---|---|---|
| 鷹の爪・八房などの辛味種 | 10〜14日 | 25〜30℃ | 家庭で干した実の種もまける |
| 甘長系・伏見系 | 7〜12日 | 25〜30℃ | 交雑すると辛い実が出るので種は買う |
| ハバネロなど激辛の系統 | 14〜21日 | 28〜30℃ | 低温に特に弱い。早まきは避ける |
温度管理|発芽は地温二十五〜三十度、苗の夜は十二度を下回らせない
トウガラシの発芽の適温は地温二十五〜三十度です。二十度を切ると芽が出るまで三週間を超え、十五度以下では種が土の中で腐ります。二月の室内は昼に暖かくても夜の地温が十度台まで下がるので、芽が出るまでは昼も夜もヒーターマットで土を温め続けます。
芽が出たあとは昼二十五〜二十八度、夜十五〜十八度を目安にします。育苗中の苗の夜の最低温度は十二度で、これを下回る夜は加温するか室内に取り込みます。ハバネロなど激辛の系統は寒さにさらに弱いので、十五度を下限と考えて扱います。
- マットと箱で発芽室を作る
- 発泡スチロール箱の底に育苗用のヒーターマットを敷いてポットを並べ、ふたをして発芽室にします。温度調節器があれば二十八度に合わせ、なければ温度計で確かめて熱すぎない位置に置きます。
- 芽が出たら昼は窓辺へ
- 芽が出た苗は箱から出し、昼は南向きの窓辺で日に当てます。夕方になったら箱に戻すか、窓から離れた暖かい部屋へ移して夜の冷え込みを避けます。
- 高温と蒸れを避ける
- 晴れた日の窓辺で箱を締め切ると、中が三十五度を超えて苗が蒸れます。芽が出たあとは昼の間ふたを外し、夜も暖かすぎて茎が伸びるなら設定を下げます。
| 時期 | 昼の温度 | 夜の温度 | 手当て |
|---|---|---|---|
| 発芽まで | 地温25〜30℃ | 地温25℃以上 | マットを入れたまま保温箱のふたを閉める |
| 発芽〜本葉2枚 | 25〜28℃ | 15〜18℃ | ふたを外し、窓辺で日に当てる |
| 本葉3枚〜鉢上げ後 | 23〜27℃ | 13〜15℃ | 夜は箱に戻すか暖かい部屋へ |
| 定植前の1週間 | 20〜25℃ | 12℃以上 | 日中は外で慣らす |
芽が出てから定植前までの世話
芽がそろったら日に当て、徒長(光不足や高温で茎が細く間延びすること)を防ぎます。トウガラシの苗は葉が小さめで、間延びしてもしばらく目立たないため、双葉の下の茎の長さで判断します。二センチを超えて伸びてきたら、光か夜の温度のどちらかを直す合図です。
- 覆いを外して日に当てる
- 芽が土から出たら、その日のうちにふたを外して日に当てます。遅れて出る芽を待つ間も、先に出た苗は窓辺に出しておきます。
- 本葉一〜二枚で一本に
- ポットにまいた苗は、本葉が一〜二枚のころに茎の太い一本を残してはさみで切ります。セルトレイの苗はこの時期に九センチのポットへ移します。
- 水やりは乾いてから
- 表面が乾いたら、晴れた日の午前中に鉢底から流れるまで与えます。トウガラシの苗は過湿に弱く、いつも湿っていると根が傷んで下葉が落ちます。
- 下葉の色で追肥
- 本葉五枚ごろから下葉の色が淡くなったら、追肥(育ちの途中で足す肥料)として薄い液体肥料を週一回与えます。ポットの底から根が出たら十二センチのポットに移します。
定植の目安と外気への慣らし
植えどきは、本葉十〜十二枚で一番花のつぼみが見えたころ、種まきから八十日前後です。外の最低気温が十五度を下回らなくなってから植えます。トウガラシは植えたあとも夏まで長く育つので、寒い日に急いで植えて根を傷めるより、一週間待って暖かくなってから植えるほうが結果が良くなります。
- 一週間かけて外に慣らす
- 定植の一週間前から、晴れた日の日中に外へ出します。数時間から始めて少しずつ長くし、最後の二〜三日は夜も軒下に置きます。夜が十二度を切る予報なら室内に戻します。
- 植えどきを確かめる
- 一番花のつぼみが付き、茎が太く節の間が詰まって、葉が濃い緑なら植えどきです。前日に水を与えておき、根鉢を崩さずに植えられるようにします。
芽が出ない、苗が育たないときの原因と立て直し
トウガラシは発芽まで日数がかかるため、失敗に気づくのも遅れがちです。まいてからの日数と温度を記録しておくと、原因を切り分けやすくなります。三月中旬までにまき直せば、六月上旬の定植に間に合います。
| 状態 | 原因 | 立て直し |
|---|---|---|
| 三週間たっても芽が出ない | 地温不足か、加熱して干した実の種 | 地温を確かめ、袋入りの種でまき直す |
| 芽が出た直後に倒れる | 過湿と低温で根元が腐った | 水を控え、土を乾かし気味にして温める |
| 双葉の下が細長い | 光不足か夜が暖かすぎる | 窓辺に出し、夜の温度を十五度ほどに下げる |
| 葉が紫色になり止まる | 夜十度以下の冷え込み | 夜は室内へ。暖かくなれば新しい葉は緑に戻る |
芽が出ないまま二十日を過ぎても、激辛の系統なら土の中で生きていることがあります。一粒だけ掘って、種がふくらんで白い根が出ていれば、そのまま待ちます。
種まきの手順
トウガラシは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
トウガラシの種まきでよくある質問
トウガラシの種はいつまく?
加温して早まき: 2月中旬〜下旬。保温してまく: 3月上旬〜中旬。加温なしで遅まき: 4月上旬。寒冷地: 3月上旬に加温してまく。
トウガラシの種はどうやってまく?
湿らせた種まき用の土を九センチのポットか五十穴ほどのセルトレイに詰め、二〜三粒を五ミリの深さにまきます。
トウガラシの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
トウガラシの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はトウガラシの育て方にまとめています。
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