一年の流れを表で見る
キビは種まきから収穫まで約九十〜百十日です。夏の間に育ち、秋の初めに刈って乾かし、脱穀と精白を経て食べられます。関東平野部の露地を基準にした月ごとの目安です。
| 月 | 主な作業 | 目安と注意 |
|---|---|---|
| 4月 | 畑の準備、種の入手 | 堆肥を入れて耕す。肥料は控えめ |
| 5月 | 種まき(中旬以降) | 地温15度以上。深さ1センチ以内 |
| 6月 | 間引き2回、追肥、土寄せ1回目 | 本葉2〜3枚と5〜6枚。梅雨の過湿に注意 |
| 7月 | 土寄せ2回目、雑草取り、支柱 | 草丈50センチ。穂が出る前に支柱を立てる |
| 8月 | 出穂、開花、鳥よけ、台風対策 | 穂が出たら防鳥網。乾いたら水 |
| 9月 | 収穫、乾燥 | 穂の3分の2が黄色く色づいたら刈る |
| 10月 | 脱穀、選別、精白 | 十分乾いてから。もみ殻を取り粒に |
| 11月〜3月 | 保存、畑の片付け | 残さを片付け、翌年はイネ科以外を作る |
寒冷地は五月下旬まき、暖地は七月まきも可能です。まき時をずらすと収穫も同じだけずれます。
四月から五月、準備と種まき
四月に畑を耕して堆肥を入れ、五月中旬に地温を確かめてからまきます。地温は朝の土に温度計を五センチ差して測るか、ナスやサツマイモの植え付け時期を目安にします。
- 四月、畑を耕す
- 堆肥を一平方メートルに一〜二キロ、化成肥料はひと握りまいて耕します。肥料が多いと倒れるので、野菜の半分以下にします。
- 五月、地温を確かめる
- 朝の地温が十五度を超えたら、幅六十センチの畝に深さ一センチのすじまきをします。不織布をかけて鳥を防ぎます。
種は前年に採ったものか、その年に買ったものを使います。二年以上たった種は発芽率が落ちるので、まく量を一・五倍にするか発芽を試してから使います。
六月から七月、間引きと土寄せ
六月は間引きと雑草取りが中心です。キビは初期の生育が遅く雑草に負けやすいので、本葉五〜六枚までは週に一度は畝を見ます。七月には草丈が伸びて雑草を抑えるようになり、土寄せと支柱の準備に移ります。
- 六月上旬、一回目の間引き
- 本葉二〜三枚で三センチ間隔にします。列から外れた芽は雑草なので抜き、列の中でも細く葉の色が薄い株から先に抜きます。
- 六月中旬〜下旬、二回目の間引きと追肥
- 本葉五〜六枚で十〜十五センチ間隔にし、葉の色が薄ければ追肥(育ちの途中で足す肥料)をひと握り畝の肩にまいて土寄せします。
- 七月、二回目の土寄せと支柱
- 草丈五十センチで株元に土を寄せ、畝の両端に支柱を立てます。穂が出る前に済ませておくと台風に慌てません。
六月の梅雨は畝の間に水がたまりやすい時期です。雨のあとに水が引かない場所は畝の間を削って溝を作り、根腐れを防ぎます。
八月、出穂から登熟
八月上旬〜中旬に茎の先から穂が出て、小さな花が咲きます。花は目立ちませんが、この時期に強い乾燥が続くと実が入りません。穂が出たらすぐ防鳥網をかけ、台風の前にはひもで株を支えます。
穂が出る時期は品種とまき時で二週間ほど前後します。八月中旬を過ぎても茎の先が膨らまないなら、遅まきか肥料の効きすぎと考え、水と肥料を止めて様子を見ます。
| 時期 | 確かめること | 作業 |
|---|---|---|
| 8月上旬 | 茎の先が膨らむ | 2週間雨がなければ株元に水 |
| 8月中旬 | 穂が出て花が咲く | 防鳥網をかける。ひもを二段張る |
| 8月下旬 | 粒が乳白色から固まる | 台風情報を見て株を縛る。水は止める |
スズメは穂が出て一週間ほどの柔らかい粒を狙います。網は穂が見えたその日にかけます。
九月から十月、収穫と乾燥、脱穀
穂の三分の二が黄色く色づいたら、穂の付け根から刈り取ります。全部が色づくのを待つと下の粒が落ち、鳥にも取られます。刈った穂は束ねて軒下で二〜三週間乾かし、乾いたら手や棒でたたいて粒を落とします。
- 九月上旬〜中旬、収穫
- 穂を指でしごいて粒が硬く落ちるようになったら刈り時です。穂の下二十センチで茎を切り、十本ほどずつ束ねます。
- 九月下旬、乾燥
- 束を逆さに吊るし、雨の当たらない風通しのよい軒下で乾かします。粒をかんでカリッと割れれば乾いています。
- 十月、脱穀と選別
- 乾いた穂をシートの上でたたくか手でしごいて粒を落とします。風で殻やごみを飛ばし、粒だけを集めます。
脱穀した粒は殻付きのまま密閉して保存すると虫が付きにくく、半年以上持ちます。食べる分だけ精白します。
作業の時期を外したときの戻し方
キビは生育期間が短いので、時期を外した分をあとから取り戻すのは難しい作物です。ただし収穫までの間にできる手当てはあり、翌年に生かせる整理もできます。
| 場面 | 起きること | 戻し方 |
|---|---|---|
| まき時が7月にずれた | 草丈が低く穂も小さい | 収穫は10月にずれる。鳥害が減る利点もある |
| 間引きが遅れた | 細い株が密集し倒れやすい | 本葉7枚までに一気に間引き、土寄せを厚く |
| 土寄せを忘れた | 台風で倒れる | 支柱とひもで支える。翌年は2回の土寄せを |
| 収穫が遅れた | 粒が落ち、鳥に食われる | 残った穂を急いで刈る。落ちた粒はこぼれ種になる |
キビの栽培に一年を通して使うもの
作業のたびに買い足すより、季節の前にまとめて用意しておくほうが結局は安く済みます。一年を通して使うのは、次の 4 つです。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 完熟堆肥探す言葉「完熟堆肥 牛ふん」
- 規格の目安
- 牛ふん堆肥かバーク堆肥。40L 前後の袋で売られています。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 2〜3kg(およそ 5〜8L)。畝 1 本で 10〜15L。
土の粒をつなぐのは微生物の働きで、その餌になるのが堆肥です。未熟なものは根を傷めるので「完熟」と書かれたものを選びます。
- 苦土石灰探す言葉「苦土石灰 粒状」
- 規格の目安
- 粒状のものが扱いやすく、風のある日でも舞いません。1〜20kg 袋。
- 数量の目安
- 1 ㎡あたり 100〜150g、畝 1 本で 200〜300g。1kg 袋で数畝ぶん。
日本の土は雨で酸性に傾きます。**必要な量は土質で 3 倍ほど違い**、黒ボク土は砂質土よりずっと多く要ります。入れすぎると今度はアルカリ性に寄りすぎるので、pH を測ってから決めます。
- 化成肥料(8-8-8 など)探す言葉「化成肥料 8-8-8」
- 規格の目安
- 窒素・リン酸・カリが同じ比率の粒状。まず 1 袋あればほとんどの野菜に使えます。
- 数量の目安
- 元肥は 1 ㎡あたり 100g、畝 1 本で 150〜200g。追肥は 1 回 1 ㎡あたり 30〜50g。
種類を増やすより、切らさないほうが効きます。作物ごとの正確な量は都道府県が施肥基準として公表しているので、量を詰めたくなったらそちらを見てください。
出典: 農林水産省「都道府県施肥基準等」
- 黒マルチ探す言葉「黒マルチ 95cm」
- 規格の目安
- 幅 95cm、厚さ 0.02mm。株間の決まっている作物は穴あき(株間 30cm・45cm)が楽です。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。50m 巻きなら 10 畝以上。
地温を上げ、雨のはね返りと雑草を抑えます。夏の高温期だけは、地温が上がりすぎるので白黒マルチに替える手もあります。
- 土壌改良材のセット買いは要りません。堆肥と石灰と元肥の 3 つで足ります。
- 連作していない畑なら、土壌消毒剤は要りません。
キビの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はキビの育て方にまとめています。
iPhone 対応(Android 版は準備中)。無料で使えます。
この記事は広告を含みます。