まき時は地温が十五度を超えてから
キビは熱帯原産で低温に弱く、地温が十五度に届かないうちにまくと発芽がそろわず、苗が腐ります。関東平野部では五月中旬から六月中旬が適期で、遅くまくほど草丈が低くなりますが収穫はできます。梅雨前にまくと雨で発芽がそろいやすく、七月にまくと初期の乾燥に注意が必要です。
まく日を決める目安は、朝の地温を温度計で確かめるか、近所でナスやサツマイモの苗が植えられ始めたころと考えます。八重桜が散って二〜三週間たったら、土を触って冷たさが抜けているかを確かめてからまきます。
| 地域 | まき時 | 収穫の目安 |
|---|---|---|
| 寒冷地(東北・高地) | 5月下旬〜6月上旬 | 9月上旬〜中旬 |
| 中間地(関東平野部) | 5月中旬〜6月中旬 | 8月下旬〜9月下旬 |
| 暖地(西日本・南関東沿岸) | 5月上旬〜7月上旬 | 8月中旬〜10月上旬 |
遅まきは鳥害を避けやすい利点があります。スズメが少なくなる九月下旬以降に熟すよう、六月下旬にまく人もいます。
品種と用途を先に決める
キビには、もちもちした食感のもちキビと、さらりとしたうるちキビがあります。家庭で育てるならご飯に混ぜたり団子にしたりできるもちキビが使いやすく、種も入手しやすいです。穂の色は黄色、白、褐色などがあり、鑑賞用に育てる人もいます。
| 種類 | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| もちキビ | 黄色い粒で粘りが強い。栽培期間は約90〜110日 | 雑穀ご飯、きびだんご、餅 |
| うるちキビ | 粘りが少なく粒がしっかり | 粥、スープ、粉にして菓子 |
| 観賞用の色穂 | 穂が赤紫や黒に色づく | ドライフラワー、切り穂 |
在来種は地域ごとに草丈や熟期が違います。近所の直売所や種苗交換会で手に入る種は、その土地に合っていることが多いです。
畑の準備は肥料を控えめに
キビは痩せた土でも育つ作物で、肥料が多いと草丈が二メートルを超えて倒れます。元肥(植えるときに土へ混ぜる肥料)は堆肥を一平方メートルあたり一〜二キロ、化成肥料はひと握り程度で十分です。水はけのよい場所を選び、前年にキビやアワなどのイネ科を作った場所は避けます。
- 二週間前に耕す
- まく二週間前に堆肥と少量の化成肥料をまいて深さ二十センチほど耕します。酸性の強い土なら苦土石灰をひと握り足します。
- 畝を立てる
- 幅六十〜七十センチ、高さ十センチの畝を作ります。水はけの悪い場所は高さを十五センチにして根腐れを防ぎます。
- 土を細かく砕く
- キビの種は小さく、土の塊が大きいと発芽がそろいません。表面を熊手でならし、細かい土にしておきます。
種はすじまきで浅く
種は直径二ミリほどと小さいので、深くまくと発芽できません。深さは一センチ以内、土を薄くかける程度にします。条間(列と列の間)は六十センチ、一列にすじまきして間引きで株間を作ります。ポットで苗を作って植える方法もありますが、直まきのほうが根が深く張り倒れにくくなります。
- 浅い溝を作る
- 畝の中央に板の角や指で深さ一センチの溝を作ります。溝の底を軽く押さえて平らにすると、種の深さがそろいます。
- 一センチ間隔でまく
- 種を指でつまみ、一センチに一粒ほどの間隔でまきます。密にまきすぎると間引きが大変になるので、砂に混ぜてまくとばらけやすいです。
- 土を薄くかける
- 溝の両側から土を寄せ、種が隠れる程度五ミリほどかけます。手のひらで軽く押さえて種と土を密着させます。
- 水をやり鳥を防ぐ
- じょうろでやさしく水をやります。スズメやハトが種をほじるので、発芽するまで不織布か寒冷紗をかけておきます。
発芽は地温が十分なら四〜七日です。十日たっても出ないなら種が古いか深すぎたと判断し、まき直します。
発芽しない、苗がひょろ長いときの原因と直し方
キビの初期の失敗はほとんどが温度と深さと密度です。芽が出ない、出ても弱いという症状から原因を切り分け、まき直すか手当てするかを決めます。まき直しは六月中旬までなら間に合います。
| 症状 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 10日たっても芽が出ない | 地温不足、深まき、鳥に食われた | 地温が上がってから浅くまき直す。不織布で覆う |
| 芽がまばらに出た | 土の塊が大きい、種が古い | 欠けた所に追いまきする。種は前年のものを使う |
| 苗が細く倒れる | 密すぎる、日照不足 | 早めに間引く。周りの雑草を抜いて日を当てる |
| 葉が黄色く育たない | 低温、過湿 | 水を控えて待つ。6月中なら暖かい時期にまき直す |
間引きは二回、本葉で判断する
発芽したキビは最初は細い草のようで、雑草と見分けにくいです。列に沿って出た芽がキビなので、列から外れた芽は抜きます。間引きは本葉二〜三枚で三センチ間隔、本葉五〜六枚で十〜十五センチ間隔の二回に分けて行い、最終的に一株一本にします。
| 時期 | 株の姿 | 作業 |
|---|---|---|
| まいて7〜10日 | 芽が出そろう。草丈3〜5センチ | 列から外れた雑草を抜く。密なところを軽くすく |
| 本葉2〜3枚 | 草丈8〜10センチ | 3センチ間隔に。細い株、葉が黄色い株を抜く |
| 本葉5〜6枚 | 草丈20センチ前後 | 10〜15センチ間隔に。太くまっすぐな株を残す |
| 本葉7枚以降 | 分けつ(株元から茎が増える)が始まる | 以降は間引かない。土寄せに移る |
間引いた株は根が浅いので、欠株の場所に植え直せます。夕方に植えてたっぷり水をやれば活着します。
種まきの手順
キビは、本文の時期と種袋の表示を確認してまきます。まいたら、種の大きさに合った量の土をかぶせます。
覆土して軽く押さえる(転圧という)と、種と土が密着し、水を吸いやすくなります。強く固めすぎないようにします。
キビの種まきでよくある質問
キビの種はいつまく?
キビは熱帯原産で低温に弱く、地温が十五度に届かないうちにまくと発芽がそろわず…。地域、品種、その年の気温で前後するため、本文の適期も確認してください。
キビの種はどうやってまく?
すじまき / 直まきが目安です。種の性質に合わせた覆土と、発芽までの水分管理が大切です。
キビの種は何cmの深さにまく?
種の大きさや好光性・嫌光性によって異なります。本文の覆土の目安と、購入した種袋の表示を優先してください。
キビの種まき後は毎日水やりする?
回数ではなく土の乾き具合で判断します。発芽までは表土を乾かさず、過湿で水がたまる状態は避けます。
キビは何日で発芽する?
発芽日数は地温と品種で変わります。種袋の目安を確認し、適温と水分を保って待ちます。
キビの間引きはいつする?
葉が触れ合い始めた段階で、生育の良い株を残しながら数回に分けます。詳しい段階は本文で確認してください。
キビの種まきに使うもの
種まきで失敗する原因のほとんどは、覆土の厚さと、発芽までの乾きです。そこを外さないための道具だけを挙げます。
数量は幅 60cm × 長さ 3m の畝 1 本(約 1.8 ㎡)で計算しています。
- 種まき用土探す言葉「種まき培土 細粒」
- 規格の目安
- 粒径 2〜3mm の細かいもの。肥料分の少ない「種まき用」と書かれたもの。
- 数量の目安
- セルトレイ 128 穴 1 枚で約 2L、ポット 9cm なら 1 個 0.3L。
粒の粗い培養土だと、小さな種が粒の隙間に落ちて深く埋まり、出てきません。
- 霧吹き(ハンドスプレー)探す言葉「園芸 霧吹き 大容量」
- 規格の目安
- 500ml〜1L。霧の細かいものほど種が流れません。
ジョウロで直接かけると、まいた種が寄ってしまいます。発芽までは霧で、根が張ってからジョウロに切り替えます。
- 不織布(べたがけ用)探す言葉「不織布 べたがけ 農業用」
- 規格の目安
- 幅 135cm 前後、目付 20g/㎡ 前後。透水性があり、かけたまま水をやれるもの。
- 数量の目安
- 畝 1 本(3m)で 4m。
発芽までの乾燥と、鳥・強い雨から守れます。防虫ネットより目が細かいぶん保温もでき、寒い時期の種まきで差が出ます。
- 園芸ラベル探す言葉「園芸 ラベル 差し込み」
- 規格の目安
- 差し込み式の白いもの、長さ 10cm 前後。油性ペンで書きます。
まいた日と品種を書いて挿しておくと、発芽が遅いときに「まだ待つ」のか「まき直す」のかを判断できます。
- 直まきするなら、セルトレイもポットも要りません。
- 高価な殺菌済みの培土でなくても、市販の野菜用培養土をふるいにかければ細かい土が作れます。
キビの収穫までのコツは作物ページに
栽培カレンダー、病害虫の一覧、品種の選び方はキビの育て方にまとめています。
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